直川の芸能文化財を未来へ!村誌デジタル保存プロジェクト

なおちゃん

村指定無形民俗文化財となった、直川の芸能。昔舞ったことがある!と懐かしく感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

本村の伝統芸能として現在に受け継がれているのは、大字上直見の肘切(ひじきり)神社と富尾(とみのお)神社の杖踊り・風流(ふりゅう)稚児踊り・獅子舞である。そして、この三種の芸能がセットになって奉納されている。

この神事芸能は、五穀豊穣・家内安全を祈願して、二年ごとの九月第三日曜日の秋祭りに、肘切・·富尾神社で交互に奉納される。昭和五十四年、村指定無形民俗文化財となる。

第一節 杖踊り


杖踊りは、江戸時代の享保二年(一七一七)に、大坂木(弥生町)から伝援されたという、 荒川流杖踊りである。大平洋戦争から戦後にかけて中止されていたが、昭和四十九年(一九七四)に上直芸能保存会が組織され、復興とともに、その保存に努めている。
杖踊りには、庭入り・神・見返り・裾払い・とう打ち・とやまき・すねくどき・止めの八つの杖がある。
杖使いは、間庭・園・竹ノ下の各集落から八人ずつの計二四人である。衣装は、しゃぐま(頭に付ける馬のたてがみ)・胸当て・法被・角帯・帯締め・股引・手甲・脚絆・白足袋・草鞋である。杖は、六尺二寸(約二メートル)で両端に紙房を付ける。

第二節 風流稚児踊り

踊り子は、幼稚園児から小学校六年生までの女児約二〇人で、それに大人が数人加わる。衣装は、頭にリボンを付け、浴衣を着て、草腹をはき、手に扇を持つ。
稚児踊りの囃子は、大太鼓、小太鼓、鼓、笛、などで、中津留集落が受け持ち、風流唄を歌う。風流唄は「神舞歌」で、これに合わせて踊る。
神舞歌は、波うつ踊り・小町踊り・恋踊り・とりてくやし・あじき・五色踊り・念仏踊りの七種があり、それぞれ五連構成になっている。現在歌われているのは、波うつ踊り・小町踊り・恋踊りの三種で、連も五連のうち三連までを歌う。

波うつ踊り


一 波うつ磯べを出てみれば  ハンニャーハー
  波うつ磯べを出てみれば 走り出てみれど  島には船もなし
  もとの港に漕ぎもどす もとの港に漕ぎもどす
二 波うつ磯べを出てみれば  ハンニャーハー
  波うつ磯べを出てみれば、かもめたつ沖は 白波見えもせぬ
  我は寝屋にて夜をあかす 我は寝屋にて夜をあかす
二、波うつ磯べを出てみれば  ハンニャーハー
  波うつ磯べを出てみれば ほのぼのと明かしかねたる長き夜を
  我をうらみて夜をあかす  我をうらみて夜をあかす

小町踊り


一 我は鵜で候 川鵜で候 ソーレー
  我は鵜で候 川鵜で候
  あいこのうては 餌にゃつかぬ  餌にゃつかぬ
  小町踊りは 一踊り 一踊り
二 堺北の町にゃ  札が立ったとのう ソーレー
  堺北の町にゃ  札が立ったとのう
  他人の嫁御を とるなとらすな とるなとらすな
  小町踊りは 一踊り 一踊り
三  堺過ぐれば 住吉の ソーレー
  堺過ぐれば 住吉の
  松にそいして 緑恋しや 緑恋しや
  小町踊りは 一踊り 一踊り

恋踊り

一  恋は憂いもの 身をやつす
  恋は憂いもの 身をやつす
  桜花いつ咲く 咲くことよ
  お待ちせど 咲かでしおれる うらめしや
  君はつれなや 逢いもせぬ
  君はつれなや 添いもせぬ
二 恋は憂いもの 身をやつす
  恋は憂いもの 身をやつす
  君故にあだなは たちても逢いもせぬ
  あたりに見えぬが 恨めしや
  君はつれなや 逢いもせぬ
  君はつれなや 添いもせぬ

三 恋は憂いもの 身をやつす
  恋は憂いもの 身をやつす
  明け暮れに 思いするがの
  富士の野の 草の数ほど思えども
  君はつれなや 逢いもせぬ
  君はつれなや 添いもせぬ

第三節 獅子舞い


獅子舞いを演ずるのは、雄獅子の河内と、雌獅子の向船場・川又・久留須の二組である。いずれも、一頭二人立ちで舞う。獅子頭は木彫りで、藍地に白の巻き毛紋の胴衣をつける。

口取りは、両組とも数人の小学生がいて、二人ずつ演ずる。河内組は、ひょっとこ面・法被・赤青の襷・獅子の胴衣地の股引・白足袋・草鞋・背にばっちょろ笠・長柄のついた軍配団扇を持つ。向船場・川又・久留須組は、法被・赤青の襷・白足袋・草色地に白の唐草模様の股引・長柄のついた赤い丸団扇を持つ。

奉納芸能を撮る
平成六年は、十月九日に富尾神社で神事芸能の奉納が行われたので、その模様をカメラで追ってみた。

出発
中津留集落に集合して、行列を作り、神社へ向かった。行列の長さは、約一〇〇メートルにおよぶ。杖と獅子は、祭りをする神社の氏子組が、それぞれ先に並ぶことになっている。したがって、冨尾神社の間庭杖、その後に肘切神社の竹ノ下・園の杖・河内獅子の後の向船場・川又・久留須の獅子がつづく。なお、神社に着くまで、杖と獅子は二回演技を行う。杖は「行列の杖」を使う。稚児は扇ではなく小花棒を持ち、囃子に合わせて、振ったり回したりしながら歩いていく。

到着 冨尾神社

神社に向かって、左から杖・獅子・稚児・囃子の順に整列する。

境内行事

  • 開会のあいさつ
  • 一同礼拝
  • 神事(お祓いの儀)
  • 保存会会長式辞
  • 神社総代あいさつ
  • 来賓祝辞

ー 直川村誌 P782~786 -

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